三叉神経痛とはどのようなものですか?

三叉神経は顔面に分布している、主として知覚を支配する神経です。三叉神経痛は身体の中でもっとも激しい神経痛です。その特徴は洗顔、歯磨き、髭剃り、食事、会話などでひき起こされます。痛みの性質は、突然「電気が走るような」、「雷が落ちたような」激しい痛みと言われます。したがって痛みが強くなってくると、日常生活が大きく障害されます。

なぜ、三叉神経痛が起こるのですか?

三叉神経が脳幹から出るところで血管、腫瘍などで圧迫されて神経の軸が歪むと三叉神経線維の電位に異常が起こり、三叉神経痛が起こります。血管の圧迫で起こるのが約90%、腫瘍によるものが約10%です。 MRIでどれが原因か判ります。

なぜ、神経痛はしだいに強くなるのでしょうか?

圧迫している血管が加齢・動脈硬化などで屈曲して来て、圧迫がより強くなってくるからです。腫瘍の場合は、その増大とともに圧迫が強くなるからです。

三叉神経痛の治療法はどのようなものがありますか?

薬物療法:テグレトールという、てんかんにも使う薬が有効です。しかし痛みが進行するにつれ量を増やす必要がありますが、多量になると副作用が出てくることがあります。ふらふら感、眠い、さらに肝臓・血液障害をきたすことなどです。

放射線で三叉神経を照射する方法で、ガンマナイフなどというものが使われます。その治癒率は一般に約60~70%位で、再発率は約30%位です。

根本的な治療法は、神経を圧迫している血管を手術的に神経より遊離すること、あるいは腫瘍をとることです。手術法は、顔面けいれんの場合とほぼ同じです。

手術による治癒率、再発率、合併症はどのくらいですか?

三叉神経減圧術で、痛みが完全に消失するのは70%前後。改善するのは80~90%位です。再発率は10~20%と言われています。

手術による合併症はありますか? あればどのようなものですか?

合併症としては、まれに起こる可能性のあるものとして聴覚障害、顔面の知覚鈍麻などがあります。聴力障害発生の予防法として、顔面けいれんのところで述べたように術中聴神経機能をモニターして、異常があれば事前に判るようにします。