顔や口の中、歯肉などの感覚を伝える三叉神経が血管によって圧迫された時に起こります。 電気が走るような激痛が突然片側の鼻や口のまわり、顎や歯肉などにおこり、食事や洗顔、歯磨きなどが痛みの誘引となります。 三叉神経痛の原因の多くは頭の中で血管(主に小脳の動脈)が三叉神経を圧迫していることによります(図1)。 脳神経減圧手術(2~3時間)によって脳動脈の圧迫を解除すると大部分の人(90%以上)は痛みがとれます(図2)。 これまで多くの方に手術を行い良好な結果を得ています。ただ全身麻酔が必要な手術なので2週間程は入院が必要です。

図1 血管が三叉神経を圧迫

手術の内容

1.麻酔:全身麻酔
2.体位:症状側と反対を下にした側臥位
3.頭の固定:3点ピンによる頭蓋骨の固定
4.皮膚の切開:約10cm(耳の後ろ、毛髪内)
5.開頭(約3cm径)、状況で大きくなることもあります
図2 脳神経減圧手術
6.手術顕微鏡による観察。小脳を引きながら小脳橋角部の脳神経圧迫部位を観察します
7.減圧操作

圧迫動脈を確認後、血管を神経から剥離して移動し減圧します。減圧にはスポンジや人工のシートなどを使用し少量の生体糊(フィブリン糊)を使用することもあります。手前の錐体静脈はできるだけ残しますが、操作を妨げる場合は切断することがあります。三叉神経に強く接触している静脈も切断するほうが、再発のリスクはなくなりますので、手術中の判断で切断します。三叉神経を被う周囲の骨が膨隆している時は、ドリルで削除しないと、圧迫部位が見えないことがあります。その場合には、周囲の血管や神経への損傷の危険性があります。

図3 手術顕微鏡下での手術